都会のオアシス
先週木曜に、ふと思い立って近所の公園Parque Ecológico Cayaláへ。ここに広がる約10haの森には多くの生き物が生息している(鳥だけでなんと100種以上)。大都市グアテマラシティーに残る貴重な自然の一つだ。市民の憩いの場であり、環境教育の場でもある(管理母体のNGOがリサイクル活動や自然観察会などを実施)。僕にとっても昆虫観察の絶好のフィールドであり、1~2か月おきにこうして調査に訪れている。
林道に入ると、早速様々な直翅類に遭遇。
バッタの一種 Acrididae sp.
ササキリの一種 Tettigoniidae sp.
オンブバッタの一種 Sphenarium sp. (Pyrgomorphidae)
カマキリの卵嚢
コガシラアワフキの一種 Huaina inca (Cecropidae)
このアワフキムシは、ロス・セリートスでもよく見た普通種。幼虫が唾のような物質を分泌してその中で暮らすことから、この名が付けられている。
ここ最近、また雨がよく降るようになってきたので、蝶も増えてきているかなと期待していたが、それほど多くの種は見られなかった。下の種も広域分布(ロス・セリートス及びビオトポにも生息)の普通種。
産卵するスカシトンボマダラの一種 Dircenna klugii (Ithominiinae: Nymphalidae)
蝶を待っていると、草むらからこんな爬虫類がひょっこり顔を出す。
トカゲの一種 Ameiva sp.
今日はあまり収穫はなかったなあと思いながら、林道入口付近に戻ってきたその時、草むらにとんでもない形をした虫が!
ツノゼミの一種 Cladonota sp. (Membracidae)
そして隣の草むらを見ると、そこにもまた! 角の形が先ほどの種と異なっている。
ツノゼミの一種 Cladonota sp. (Membracidae)
ツノゼミの角は中胸の一部が変化したもの。その形・色たるや実に多様で、本当に興味が尽きない。これほど立派な突起をもった種を実際に見るのは初めてなので、感激もひとしお。Parque Cayaláの自然の魅力をまた一つ発見したひとときだった。
ただ、喜んでばかりもいられない。公園のすぐ外で宅地造成が行われているからだ。園内にまで響き渡るエンジン音。林道を隔てた向こう側には、切り開かれて一面赤茶けた、見るも無残な光景が…。ここまで隣接した場所で工事が行われたら、園内の自然にも影響があるのではと、気がかりでならない。首都に残存する貴重な自然がこれ以上傷付けられることのないよう、切に願う。