Insecta Mesoamericana

グアテマラ在住の虫屋が綴る自然誌雑記

珍獣の森、再訪

アティトラン湖を出て、我々が次に向かったのは、ロス・タラレス自然保護区(Reserva Los Tarrales)。私にとっては1年4か月ぶりの訪問だ(前回の旅の詳細は2015年9月11日のブログを参照)。さあ、今回も色とりどりの蝶、そして珍獣たちに出会えるだろうか……

湖岸に広がる森の多様性

11月後半に旧友と一緒にグアテマラ各地を旅行した。やや駆け足ではあったが、グアテマラの自然と文化の多様さに触れることのできた1週間だった。特に、植生の異なる4か所の森を訪問できたのは、私にとっても非常に興味深かった。そこで、今回から3回に分けて…

蝶吹雪!

季節変化というのはこれほど凄まじいものなのか。それを思い知らされる出来事が先月末にあった。 6月20日、例の乾燥林保護区を再訪。雨季に入ってから初めての調査だ。麓の道沿いの木々はみな若葉をつけており、その新緑が眩しい。昆虫もさぞかしいろんな種…

巨大トカゲ棲む森:動物編

今回は前回の続きで、例の乾燥林の動物相を紹介。実は、1週間前にまたこの保護区を訪れた。なぜこんなに頻繁に通っているかというと、チョウのモニタリングをすることにしたからだ。月1回チョウの種類を記録していくだけだが、継続調査を通して何らかの季節…

巨大トカゲ棲む森:植物編

乾燥林(季節林)というのは面白いところだ。乾燥しているから生物は少ないと思いきや、そこでしか見られない固有種が多く生息する。確かに乾季には生き物の数は減少するものの、雨季の初めに植物が一斉に新葉を出すのに合わせて多くの昆虫が出現する。こう…

昆虫図鑑完成、そして活用へ

気がつけば、前回の更新からなんと半年。またまた間が空いてしまったが、気を取り直して再開したい。 紹介したい虫の話は山ほどあるが、まずは一つ報告をしておきたい。前々回のブログで少し触れたように、同僚らとともにグアテマラ昆虫図鑑の作成に取り組ん…

数字蝶の謎 ~その3~

10月に入って雨季もそろそろ終わりかと思いきや、数日前から低気圧の影響で連日の雨。今日ようやく上がったが、あちこちで土砂崩れが起こっているようで、予断を許さない日が続きそうだ。一刻も早く天気が回復することを願うのみ。 さて、今日はウラモジタテ…

生物学シンポジウムを終えて

先週、首都のサン・カルロス大学でCongreso Nacional de Biologíaというシンポジウムが開催された。Biología(生物学)と題されているが、テーマは基礎生物学から気候変動、環境ガバナンス、感染症、農産物まで、多岐にわたっている。私は今回2つのプレゼン…

数字蝶の謎 ~その2~

グアテマラの名産品と言えば、言わずと知れた、コーヒー。中米に詳しくない人でも、グアテマラと聞けば、真っ先にコーヒーが思い浮かぶのではないだろうか。総生産量は数年前にホンジュラスに追い抜かれたものの、品質とブランド力は中米一であることは間違…

珍獣うごめく森

今日は、1か月前の調査旅行の話。行き先は、西部のアティトラン火山の山裾に位置するロス・タラレス自然保護区 Reserva Los Tarrales。野生動物の宝庫で(特に鳥の種類が多い)、昆虫も豊富だと聞いていたことから、いつか行ってみたいと思っていた。 この保…

都会のオアシス

先週木曜に、ふと思い立って近所の公園Parque Ecológico Cayaláへ。ここに広がる約10haの森には多くの生き物が生息している(鳥だけでなんと100種以上)。大都市グアテマラシティーに残る貴重な自然の一つだ。市民の憩いの場であり、環境教育の場でもある(…

数字蝶の謎

すっかりご無沙汰してしまった。忙しさにかまけて更新を怠ってしまい、ブログの存在すら忘れかけていたが、ブログ開設から1年のこの節目の日に再開したい。 まずは、直近の昆虫調査の話から。8月19日にアルタ・ベラパス県のサン・ペドロ・カルチャ市(以下、…

湖畔の蝶乱舞

話は遡るが、前々回書いた採集旅行にはまだ続きがある。この後、ラグーナ・ラチュアという所を訪れたからだ。ここはアルタ・ベラパス県北西部にある国立公園。県都のコバンから車で2時間半近くもかかる。ずっと行ってみたいと思っていたところ、ちょうど国立…

久々の採集

気がつけば暦は10月。9月は、9日間のコロンビア旅行、帰ってきてからは論文作成と、慌ただしい1か月だった。 そういうわけで、昆虫採集もここ最近ご無沙汰だったが、昨日久しぶりにその機会が訪れた。大家さんの息子さんが案内してくれることになったのだ。…

¡Baja Verapaz Otra Vez! ~旧地再訪~

2014年6月21日、中米グアテマラに到着。2012年12月までJICA青年海外協力隊員として同国で活動していたのだが、縁あって首都の大学で昆虫の研究をすることになったからだ。1年半ぶりに見る景色は、やはり懐かしい。でも、懐かしさでいえば、任地だった街、バ…